文章を書いていて、ふと、「ずつ」と「づつ」のどっちを使えば良いのか迷う時がありませんか?
例えば、「少しずつ」なのか「少しづつ」なのか…?とか。
発音も意味もどちらも同じなので、話しているときには違いを意識することはありませんが、いざ文章を書くとなると迷ってしまいますよね。
そこでこの記事では、「ずつ」と「づつ」の違いや使い分けのコツについてまとめてみました。
「ずつ」と「づつ」の違いとは?
まず、「ずつ」と「づつ」の違いですが、
- 「ずつ」→ 現代仮名遣い
- 「づつ」→ 歴史的仮名遣い
という分類の違いがあります。
現代仮名遣いとは、現在、私たちが使っている仮名遣いのことで、今日を「きょう」、蝶を「ちょう」と表記します。
現代仮名遣いは、1946年(昭和21年)に政府が正式な文字として公布しました。
それに対して歴史的仮名遣いは、昔の仮名遣いを指します。昔は、今日を「けふ」、蝶を「てふ」と表記していました。
この歴史的仮名遣いは学校の国語の授業で見たことありますよね?
発音についても、「ずつ」と「づつ」は、昔は少し違っていたようです。
現代仮名遣いと歴史的仮名遣いの使い方の流れをまとめると、
- 1946年(昭和21年)11月以前は、「づつ」
- 1946年(昭和21年)11月~ 1986年(昭和61年)7月は、「ずつ」
- 1986年(昭和61年)7月以降は、「ずつ」と「づつ」
「づつ」という表記は戦後直後まで使われていたんですが、1946年に現代仮名遣いの「ずつ」に統一され、「づつ」は誤った表記とされました。
しかし、1986年以降は、「づつ」の使用も再び認められるようになりました。
どうして再び「づつ」が認められるようになったかというと、
です。
言われてみると確かに、
という疑問がわんさか出てきますよね。
こうした流れの結果、現在の現代仮名遣いの表記ルールは、
とされています。
これで大分スッキリしましたね。
私自身もこうやってブログを書いていて、特に「1つづつ」なのか「1つずつ」と書くのが正しいのか悩んでいましたので…スッキリ解決です。
でも共存が許されるようになったということは、逆に言えば
も出てきますよね。
ということで続いては「づつ」と「ずつ」の使い分けについて確認していきたいと思います。
「ずつ」と「づつ」どちらが正しいか迷う時の使い分けのコツ
「ずつ」と「づつ」のどちらも正しいとなると、かえってその使い分けに悩んでしまいますが、
この理解が一番簡単であり、教科書や公文書などには「ずつ」と表記することが文部科学省によって正式に定められているからです。
ちなみに、「づつ」は正式な表記ではないので広辞苑に掲載されていません。
でも実際には、「ずつ」ではなく「づつ」と表記する場合もあるので、「づ」が使われるルールを簡単に説明します。
「づ」と表記するパターンは以下の3つです。
- 同じ音が続く場合
- 2つの言葉がくっつくことで濁音になる場合
- 2語を分解できない場合(例外的に認められている)
同じ音が続く場合は、「つづく」「つづる」などが例として挙げられますね。
2つの言葉がくっついて濁音になる例としては、「竹筒」「手綱」などです。
それぞれひらがなでは「たけづつ」「たづな」と表記します。
竹筒はもともと「筒」、つまり「つつ」なので、「竹」にくっついて濁音になったとしても、「ずつ」ではなく「づづ」となります。
(「綱」も「つな」なので「づな」となる)
最後に例外的に「づ」という表記が認められているものとして「稲妻(いなずま)」を例に挙げます。
ルールに従うと、「稲」に「妻」(つま)がくっついたのなら「いなづま」という表記になるはずですが、この場合は分解しにくい言葉とされて「いなずま」と表記されます。
「いなづま」は例外的に認められているだけです。
同じ例としては「融通(ゆうずう)」「腕ずく」などがあります。
全てルールに当てはまり切れないのが、言葉の面白さ・奥深さかもしれませんね。
「ずつ」と「づつ」の違い]まとめ
改めて「ずつ」と「づつ」の違いを簡単に説明すると、
ということでした。
よって私たちが日常で使う場合は、「どちらも正解」なんです。
ただ、法令、公用文書、新聞、放送などの基準は「ずつ」を基準にしています。
ビジネス文書で「づつ」を使うと、状況によっては常識がないと思われるかもしれないので、
と覚えておきましょう。
国語の試験などでも、どちらが正しいかという問題が出されたら、「ずつ」のほうを答えれば不正解になることはありません。
いつも何気なく使っている言葉ですが、この短い単語の中に、日本語の特徴や歴史が感じられます。
まだまだ日本語について知らないことが沢山あって改めて日本語の奥深さが実感できますね。